
応為の母であり北斎の妻・ことを演じるのは、国内外の映画祭で数々の賞を受賞し、近年も『あちらにいる鬼』(2022)、『国宝』(2025)などの話題作で圧倒的な存在感を放ち続ける寺島しのぶ。病を抱える娘・お猶(おなお)と町外れで慎ましく暮らしながら、時に応為が訪れては心情を打ち明ける、強く優しい母親という役どころ。どこか飄々としながらも、時に鋭く娘を見抜く、揺るがぬ優しさを併せ持つ“こと”という人物を演じきっている。
葛飾北斎の門弟で売れっ子の絵師・初五郎(魚屋北渓:ととや・ほっけい)を演じるのは、韓国と日本を股にかけて活躍する大谷亮平。韓国で俳優としてキャリアを築いたのち、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(2016)で注目を集め、NHK連続テレビ小説「まんぷく」(2018)、映画・ドラマ『ゴールデンカムイ』シリーズ(2024)など話題作に出演し、幅広い表現力で注目を集めてきた。本作では、誠実で穏やかな佇まいを持ちつつも、どこかつかみどころのない男・初五郎を演じ、そんな初五郎の姿は応為にとっても自然と心を惹かれる存在として映っていく。
そして、応為たちの近所に暮らす元吉を演じるのは、女形として舞台を中心に活躍し、テレビや映画でも独自の存在感を放ってきた篠井英介。柔らかな所作と繊細な言葉づかいが印象的で三味線を弾きながら端唄(はうた)を歌う元吉は、応為の心の揺らぎを受け止める存在であり、町の中でもひときわ異彩を放つ役どころ。
また、陸奥津軽家藩主・津軽越中守の使いとして、北斎に屏風画の依頼に何度も足を運ぶ津軽の侍を演じるのはNetflix配信ドラマ「さよならのつづき」(2024)やNHK連続テレビ小説「あんぱん」(2025)などで注目を集める奥野瑛太。幅広い作品でバイプレイヤーとして着実にキャリアを重ねてきた実力派俳優・奥野が、本作では命じられた任務にひたむきに向き合う熱血漢をまっすぐに演じている。